みなさまこんにちは、大分寒くなってまいりました。

こんな時期は肩・腰に冷えが生じてくることが多くなり、血行不良により運動器系の症状が少しづつ出てくる季節になりました。

寒い時期で辛い時期になりますが、こんな時期であるからこそ、少しづつ運動や散歩などできることをしていきたいものです。

さて、論文をみながら慢性腰痛系の面白い論文がありました。

 

腰痛患者の腰仙多裂筋の圧痛閾値と筋電図振幅に対する2つのディープドライニードリング技術の短期的影響 ー ランダム化臨床試験

 

この研究の目的は、腰痛のある成人の腰仙多裂筋(LM)の圧痛閾値(PPT)および筋電図(EMG)振幅に対する、針操作の有無によるディープドライニードリング(DN)の効果を比較することでした。 (LBP)。

方法:参加者は、針操作あり(n = 21)と針操作なし(n = 21)の2つの治療グループにランダム化されました。すべての参加者は、割り当てられたDN介入の単一セッションを受け取りました。LM筋のPPTとEMG振幅は、DNの前、DNの直後、およびDNの1週間後に3回収集されました。

結果:針操作群は、針操作なし群と比較して、介入直後および1週間のフォローアップ時にPPTの有意に大きな増加を示しました。針操作群のPPTの増加は、介入直後に有意であり、1週間のフォローアップでも増加は有意なままでした。ただし、3つの時点でグループ間でLM筋のEMG振幅に有意差はありませんでした。

考察:針操作を伴う深いDNは、LBP患者の操作を伴わないDNよりも機械的圧力感度を低下させるように見えた。DNの単一セッションは圧痛感受性を低下させる可能性がありますが、LM筋機能を改善するには十分ではない可能性があります。

証拠レベル:1b。トライ

 

鍼操作の内容が具体的に書いていないため、推察にて刺鍼転向法(鍼を皮下まで一度引き抜いて、目的の組織の方向に合わせて行うやり方)によるものかなと思いますが、基本的にこの場合は腰部の深部筋にターゲットを合わせて行っているかと思います。

加えて腰背部の深いところですと主に筋筋膜性の腰部症状であれば多裂筋になると思いますので、刺鍼転向法にて多裂筋の走行に合わせて鍼を打っているのかなと思われます。

この鍼の打ち方はそこそこに練習しないと難しいので、学生のうちに練習はたくさんしましたが、今は大分上達しました!笑

多裂筋の鍼は深部筋独特の反応があり、特殊な響きかたではありますが、終わった後に原因筋が多裂筋であったなら、この論文でも示されている部分ではありますが、かなり腰部の疼痛に即効性がある鍼になります。

またこの論文から、下部多裂筋の範囲が広い(下図ヒューマンアナトミーアトラス様)ところにアプローチをしている(腰仙多裂筋)のかなとおもわれます。

 

筋電図的には改善されていないとのことでありますので、この論文内の内容で限定すれば運動のパフォーマンスを上げるのは鍼では困難ではあるのかなと。

痛みによるパフォーマンスの低下による運動性、疼痛改善度合いなどを総合的に評価していきつつ、持続的な効果も見られるので、鍼自体の刺激がある程度対応できる方であれば、非常に有用であるかなとおもいます。

あとははサンプル数がより多く集まることを期待しております!

意外に単純な運動器疾患である慢性腰痛ではありますが、脳梗塞や出血後の姿勢不良により慢性的に腰部疼痛になっている方もかなりの頻度で診られます。そういった利用者様にも必要であれば理学療法以外でも鍼やお灸の対応していく形になります!

現在は当施設は体験コース、予約制のコースともに私一人で対応させていただいておりますが、予約が空き次第鍼での対応も行ってまいります。脳梗塞のリハビリが看板になっていますが、腰部の症状等も承っておりますのでお気軽にメールをしていただければと思います!