一週間ぶりにブログを書いてまいりたいと思います。

脳卒中後の後遺症の問題点として上がりやすい嚥下機能障害ではありますが、こちらも最近では鍼灸の効果が認められている部分があります。もちろんこちらで対応することもありますが、ぜひお困りの方お試しに実施してみてもいいかもしれないのでブログにアップさせていただきました。

以下PubMedの無料記事にあります。

 

脳卒中後の嚥下障害に対する鍼治療の有効性:系統的レビューとメタ分析

 

背景: 脳卒中後の嚥下障害のリスクは非常に高いです。脳卒中後の嚥下障害の治療における鍼治療の有効性は、高レベルの根拠に基づく医療支援を欠いています。この研究は、脳卒中後の嚥下障害患者における鍼治療の臨床的価値を体系的に評価することを目的とした。

方法: 6つのデータベースの電子検索を使用して、脳卒中後の嚥下障害患者の鍼治療のランダム化比較試験(RCT)をスクリーニングしました。検索時間はデータベースの構築から2020年10月18日までで、検索言語は中国語と英語に限定されていました。文献はスクリーニングされ、データは2人の研究者によって独立して抽出されました。コクランシステム評価マニュアルは、含まれている文献の品質を評価するために使用されました。

結果: 合計39件のRCTが含まれ、そのうち36件の研究が嚥下障害に対する鍼治療の有効率を報告しました。実験群の有効率は対照群の有効率よりも高かった[相対リスク(RR)= 1.23、95%信頼区間(CI):1.19〜1.27、P <0.00001]。実験群の患者の飲酒試験の評価スコアは、8件の研究で対照群のそれよりも低かった[平均差(MD)= -0.75、95%CI:-1.11から-0.41、P <0.0001]。実験群の患者の嚥下スコアは、8件の研究で対照群の患者よりも低かった(MD = -4.63、95%CI:-5.68〜-3.59、P <0.00001)。実験群の藤島摂食評価スコアは対照群よりも高かった[標準化平均差(SMD)= 1.92、95%CI:1.30〜2.54、P <0。00001] 3つの研究で。実験群の嚥下障害特有の生活の質の尺度のスコアは、5つの研究で対照群のスコアよりも高かった(SMD = 2.02、95%CI:0.82〜3.22、P = 0.0001)。実験群のVFSSは、5つの研究で対照群のVFSSよりも高かった(MD = 2.53、95%CI:1.89〜3.17、P <0.00001)。

結論: 既存のエビデンスは、鍼治療が嚥下障害患者の嚥下機能を大幅に改善できることを裏付けています。

ほぼデータベースから、結果は改善が認められている論文になりますね、最近は鍼灸のこういった論文もたくさん出てきておりますので非常に嬉しい限りです!

さて嚥下機能に寄与する鍼灸の内容として以下の6つの鍼灸治療や対応をすることが多いです。(一般の方はこちらだけ見てもらってもいいです!)

ここで使用されている嚥下機能低下に関する鍼灸対応で、頻回に使われている経穴が以前にもお話しました太渓、足三里になります。栄養不足などでサルコペニアの反応が顕著な方は体力が低下している方が多い為、バックアップとして使用することが多い経穴になります。

また嚥下機能に関する部分で嚥下の筋収縮に寄与する経穴として太衝(足の親指と人差し指の付け根の境目)、陽陵泉(腓骨頭直下)を刺激して対応することがあるのですが、患者様のご病態により、鍼刺激の量が多くなるとドーゼーオーバーになるため、状態に合わせて対応することが多いですね。

 

最近の研究では局所経穴を使うことから廉泉(咽喉部)、風府(後頭部)(以下経穴参照)などを使用し単純な筋の刺激を入れることが多く、こちらの筋刺激には電気刺激を入れたり、手技(鍼灸手技)を使用するのは術者の匙加減ではありますが、孤束核に刺激入力され、舌筋を支配する舌下神経核に寄与する部分があると中国の論文もありますので、こちらに関してもエビデンスがどんどん出てくるとありがたいですね。

こちらとは別に舌の運動性に関わる筋群(胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋)なども刺激していく場合があります、また姿勢での嚥下困難例もあるため、姿勢アライメント修正の為、嚥下しやすいように鍼を打つ場合もありますので、利用者様に合わせて対応させていただくことがございます!

 

鍼で刺激できるといいのですが、一般の方は鍼は使用してはいけませんので、温灸(たいよう灸)や軽めの押圧刺激(痛みのない範囲)通信販売しているパワーテープ(500円ぐらいで販売してます)などでいろいろ刺激してもいいかもしれません!

こちらも継続的に行うことで効果が出るものになると思いますので、もしご自宅で何らかの嚥下機能のリハビリを必要としていた場合お試しされてみてはいかがでしょうか?